そもそも皇嗣って何なのか。
有識者会議の報告書では、何の説明もなく、「承継順位が第一位の皇族」をいうとされています。
その解釈を前提に、秋篠宮を皇嗣として、皇嗣職やら皇嗣大夫なるものを続々と新設しようとしているわけです。
じゃあ皇嗣って本当に「承継順位が第一の皇族」を指すの?秋篠宮は皇嗣なの?
皇室典範に「皇嗣」という言葉が使われているのは4回だけ。
第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。
第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
これを見ると、「承継順位が第一の皇族」を指す、というのもあながち間違いではないように思えます。
なぜなら、4条に「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」とあるから。
ただ、解釈としてはもう一つあって、
「皇嗣とはあくまで跡継ぎとして法的に確定した者である」とするもの。
例えば天皇の長男は、生まれた瞬間に跡継ぎであることが確定する。それよりも後により順位の高い者が誕生することはもうないから。
だけど例えば天皇の弟は、より順位の高い天皇の子が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとして確定しない。
そう考えることも可能です。
ただし4条の解釈は苦しくなります。が、「天皇が崩じたその瞬間に、承継順位第一位の者が跡継ぎとして確定するので、その瞬間は皇嗣になり、その瞬間に即位する。」という風に無理やり解釈するのでしょう。ちょっと時系列的に無理がある気が個人的にはしますが。
ちなみに私が確認できた限りでは、専門書では「皇嗣とは承継順位が第一位の皇族をいう」と解説してありました(園部逸夫「皇室法概論-皇室制度の法理と運用」第一法規株式会社)。ただし立ち読み。皇室典範解説本としては憲法学の権威である芦部信之が出しているものもあるようなので、機会があれば確認しようと思っています。
そして本題。秋篠宮は「皇嗣」なのか?
まず前者の説「承継順位が第一位の皇族をいう」を採ると、文句なしに「皇嗣」です。
では後者の説の場合は?
現皇太子にお子様が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとして確定しないので、「皇嗣」には当たらない、ということになります。
ここから先は、私の個人的な考え。
皇室典範を素直に読むと、皇嗣とは「承継順位第一位の者」を指すという風に読める。
もし仮に、後者の説をとって、現皇太子にお子様が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとは言えないので皇嗣ではない、と考えるとしても。
科学も発達して生殖のメカニズムも明らかとなり、側室制度もなくなり一夫一妻、結婚したら死ぬまで添い遂げるという価値観のある現代において、そこまで理念的に制度を考える必要があるだろうか?
皇室典範が皇統を男系男子に限っている問題はさておいて、例えば皇太子ご一家にお子様が生まれていなかった場合。個人的にどんなにイヤでも、秋篠宮が次の天皇になることはほぼ確定するわけです。次に即位することがほぼ間違いなく決まっている人を、それでもまだ次の天皇にお子様が生まれる可能性が絶対にないとは言い切れないわけだから(たとえば精子を冷凍しておいたとか??)、跡継ぎとは扱えない。言い切れない。
そんな硬直した運用に、果たして意味があるだろうか?
そんな運用は、私はかえって気持ちが悪いと思います。今度は皇太子殿下を何歳になっても生殖可能な種馬扱いするみたいで。
そういう場合には、現代人の持つ自然な感情に従って、承継順位第一の方を、皇嗣として扱うべきではないですか。
だから秋篠宮は「皇嗣」なのではないでしょうか。あくまで、現皇室典範に従えば。それは、法律を変えない限りは仕方ないと思うよ。
ただし誤解されたくないのですが、そのことと、国民的議論なしに「皇嗣職」とかわけわからんものを作ることは、また別の問題であり、私は大反対です。
有識者会議の報告書では、何の説明もなく、「承継順位が第一位の皇族」をいうとされています。
その解釈を前提に、秋篠宮を皇嗣として、皇嗣職やら皇嗣大夫なるものを続々と新設しようとしているわけです。
じゃあ皇嗣って本当に「承継順位が第一の皇族」を指すの?秋篠宮は皇嗣なの?
皇室典範に「皇嗣」という言葉が使われているのは4回だけ。
第三条 皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。
第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。
第八条 皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。
これを見ると、「承継順位が第一の皇族」を指す、というのもあながち間違いではないように思えます。
なぜなら、4条に「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」とあるから。
ただ、解釈としてはもう一つあって、
「皇嗣とはあくまで跡継ぎとして法的に確定した者である」とするもの。
例えば天皇の長男は、生まれた瞬間に跡継ぎであることが確定する。それよりも後により順位の高い者が誕生することはもうないから。
だけど例えば天皇の弟は、より順位の高い天皇の子が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとして確定しない。
そう考えることも可能です。
ただし4条の解釈は苦しくなります。が、「天皇が崩じたその瞬間に、承継順位第一位の者が跡継ぎとして確定するので、その瞬間は皇嗣になり、その瞬間に即位する。」という風に無理やり解釈するのでしょう。ちょっと時系列的に無理がある気が個人的にはしますが。
ちなみに私が確認できた限りでは、専門書では「皇嗣とは承継順位が第一位の皇族をいう」と解説してありました(園部逸夫「皇室法概論-皇室制度の法理と運用」第一法規株式会社)。ただし立ち読み。皇室典範解説本としては憲法学の権威である芦部信之が出しているものもあるようなので、機会があれば確認しようと思っています。
そして本題。秋篠宮は「皇嗣」なのか?
まず前者の説「承継順位が第一位の皇族をいう」を採ると、文句なしに「皇嗣」です。
では後者の説の場合は?
現皇太子にお子様が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとして確定しないので、「皇嗣」には当たらない、ということになります。
ここから先は、私の個人的な考え。
皇室典範を素直に読むと、皇嗣とは「承継順位第一位の者」を指すという風に読める。
もし仮に、後者の説をとって、現皇太子にお子様が生まれる可能性がある限りは、跡継ぎとは言えないので皇嗣ではない、と考えるとしても。
科学も発達して生殖のメカニズムも明らかとなり、側室制度もなくなり一夫一妻、結婚したら死ぬまで添い遂げるという価値観のある現代において、そこまで理念的に制度を考える必要があるだろうか?
皇室典範が皇統を男系男子に限っている問題はさておいて、例えば皇太子ご一家にお子様が生まれていなかった場合。個人的にどんなにイヤでも、秋篠宮が次の天皇になることはほぼ確定するわけです。次に即位することがほぼ間違いなく決まっている人を、それでもまだ次の天皇にお子様が生まれる可能性が絶対にないとは言い切れないわけだから(たとえば精子を冷凍しておいたとか??)、跡継ぎとは扱えない。言い切れない。
そんな硬直した運用に、果たして意味があるだろうか?
そんな運用は、私はかえって気持ちが悪いと思います。今度は皇太子殿下を何歳になっても生殖可能な種馬扱いするみたいで。
そういう場合には、現代人の持つ自然な感情に従って、承継順位第一の方を、皇嗣として扱うべきではないですか。
だから秋篠宮は「皇嗣」なのではないでしょうか。あくまで、現皇室典範に従えば。それは、法律を変えない限りは仕方ないと思うよ。
ただし誤解されたくないのですが、そのことと、国民的議論なしに「皇嗣職」とかわけわからんものを作ることは、また別の問題であり、私は大反対です。